発酵の分類
発酵温度 | 特徴 | 別名 | |
上面発酵ビール | 高温(20℃前後) | ホップやモルトの他にフル−ティで複雑な香り | エール |
下面発酵ビール | 低温(20℃前後) | ホップやモルト以外の香りがほとんどないシンプルでスッキリとした味わい | ラガー |
※自然発酵ビール・・・ベルギーの伝統的で代表的なビールで、独特の香りと酸味をもつ。未発芽の小麦が35
〜45%使用され、木樽に付着している酵母とバクテリアを利用し、主発酵後、1〜2年自
然発酵(貯酒)される。
ビールに色とアロマをもたらす多様なモルト
ベースモルト | ピルスナーモルト 85℃ |
ペールエールモルト 90℃ |
ウインナモルト 100℃ |
ミュンヘンモルト 115℃ |
ローストモルト | ライトクリスタル 120℃ |
ダーククリスタル 140℃ |
チョコレートモルト 160℃ |
ブラックモルト 220℃ |
※小麦モルト(80℃)・・・小麦で泡を造る麦芽は、泡立ちを豊かにしたり、色を淡くする目的で使われることが多
く、必ずしも必要ではない。
※ローストバーレイ(230℃)・・・非麦芽を高温でばい燥したもの。麦芽の香味が強調されている。
普段、日本人に多く飲まれているビールは、ゴールド色で、コレは最も色の薄いピルスナーモルトと無色の米、コーンなどで造られているためで、色が薄いだけでなく、モルトのアロマもほとんど感じられない。ギネス・スタウトのような黒ビールは、色が濃いばかりでなく、焦げ香ばしいモルト・アロマが強く感じられる。これは、ブラックモルトやローストバーレイを混ぜているためである。ピルスナーモルトなどのベースモルトだけで作られるビールは淡色でモルトアロマも弱く、クリスタルモルト、チョコレートモルトなどのロースとモルトを多く加えるほど、ビールは濃色になり、モルトアロマが強化される。
ビールの色を示す単位=SRMまたはEBC
完成したビールの色は、ベースモルトの種類とローストモルトの割合によって決まり、それに伴ってモルトアロマの特徴もほぼ決定される。ビアスタイルはモルトアロマのレベルや特性と密接な関係にあるので、ビールの色によってそのビールがスタイルに合致しているかいないかがだいたい分かる。ビールの色は度数で表され、SRMもしくはEBCという単位単位が使われている。
無色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0 SRM/0 EBC
明るい麦わら色またはレモン色・・・・・・・・・・1〜2.5 SRM/2〜5 EBC
やや濃い麦わら色または濃いゴールド・・・・・2.5〜4 SRM/5〜8 EBC
濃い麦わら色または濃いゴールド・・・・・・・・4〜6 SRM/8〜12 EBC
明るい琥珀色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6〜8 SRM/12〜16 EBC
濃い琥珀色もしくは明るい銅色・・・・・・・・・・・8〜10 SRM/16〜20 EBC
濃い銅色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10〜14 SRM/20〜28 EBC
明るい茶色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14〜18 SRM/28〜36 EBC
茶色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18〜26 SRM/36〜52 EBC
焦げ茶色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26〜40 SRM/52〜80 EBC
黒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 SRM/80 EBC以上
ビールの苦味を表す単位=IBU
ビールの原料のひとつとしてホップは不可欠である。ホップはビールにアロマと苦味をもたらし、アロマはホップに含まれる精油から、苦味はホップのアルファ酸から抽出される。世の中に酒の種類は多いが、苦味を特徴のひとつとする酒類はビール以外にない。苦味のレベルはビアスタイルを決定する要因のひとつとして、非常に重要である。そして、苦味のレベルを表す尺度としてIBUという単位が用いられる。IBUとは、ビール1リットル中に含まれるアルファ酸の量(ミリグラム)を示す。平均して人間の舌が感じ取れる最低の苦味レベルは、7 IBUといわれる。つまり、ビール1リットル中に7ミリグラムのアルファ酸が含まれていれば、だれもが苦味を認識するということである。
《参考》
●バドワイザー・・・・・10 IBU
●アサヒスーパードライ・・・・・16 IBU
●キリン一番搾り・・・・・21 IBU
●サッポロ黒ラベル・・・・・21 IBU
●サントリーモルツ・・・・・21 IBU
●キリンラガー・・・・・25 IBU
●サッポロエビス・・・・・25 IBU
しか〜し
ビールに甘味が多く含まれていると苦味は相殺されてIBUの数値はストレートに感じにくくなる。上記の例で言うと、黒ラベルとモルツのIBUはいずれも21で同じであるが、モルツの方がやや甘味が強いので実際には黒ラベルの方が苦味を強く感じる。キリンラガーとエビスの場合も、互いに25 IBUであるが、エビスの方がほんの少しだけ甘いために、ラガーの方がより苦く感じられる。一般的に、アルコール度数が高くなると甘味レベルも高くなるので、IBUの数値がかなり大きくても苦味はそれほど強くは感じられない。
ビールの歴史
ビールの歴史は紀元前4000〜3000年前まで遡ることができる。しかし、この時代のビールと、今日のビールとは全く異質のもので、当時やっと農耕生活を始めた人類は、大麦や小麦などを栽培し、これを焼いて食べたり、粉砕して水を加え、生パンや粥状にして食べていたと思われる。このとき、放置してあった麦の粥の中に酵母が入り込み、自然に発酵してアルコールが生成され、酒になったのが起源と言われている。
こうした光景は、紀元前3000年ごろのものと推定されるメソポタミアの発掘品『モニュマンブルー』と呼ばれる粘土の板碑に、シュメール人たちが、麦でビールをつくるさまが描かれていることからも推測することができる。
紀元前1500年ごろには、大麦を麦芽にしてからパンやビールにする方法が開発され、ビール作りはさらに進展した。
北ヨーロッパの古代ゲルマニアでも、紀元前からビール作りが行われてきた。タキトウスは、『ゲルマニア』の中で、「飲料には、大麦もしくは小麦から作られ、幾分ブドウ酒に似た液がある」と書かれている。
こうした古代のビールは、ほとんどの場合、ハチミツやスパイス類などで味付けして飲まれた。5世紀ごろ、ゲルマン族の間で、そうしたスパイス類をいろいろバランスをとりながらミックスしたものをつくり、それをビールに溶かし込む方法が発達した。ミックスしたものは、「グルート」と呼ばれ、できあがったビールは「グルートビール」と呼ばれた。グルートの材料としては、ヤチヤナギ、イソツツジ、マンネンロウ、西洋ノコギリソウ、ウイキョウ、パセリ、クローブなどがもちいられた。
ホップは、9世紀ごろからヨーロッパ各地でビールの味付け用材料のひとつとして使われるようになったが、13世紀のドイツでホップを大量に使ったボックビールが開発され、好評を得た。これ以後、グルートビールに代わって、ホップでさわやかな苦味をつけたビールが、中部ヨーロッパで主流派となる。このホップを使ったビールの地位は、1516年の「ビール純粋令」の発令によって確固たるものになった。この法令は、バイエルン領邦の君主ウイルヘルム4世が、ビール醸造業者に対して、「ビールは、大麦、ホップ、水だけで醸造せよ」と命じたもので、これによりグルートビールは姿を消し、この法の精神は、ヨーロッパ各地のビール醸造業者にも多大な影響を与えることになった。
イギリスでは、18世紀になってから、やっとホップの使用が義務づけられるようになった。
ホップの使用と平行して、15〜16世紀には、まったく新しい醸造方法がドイツを中心に広まり出す。低温で発酵貯酒するこの醸造法のビールは、現在の「下面発酵ビール」で、当時は気温の低い9月から翌年の4月ぐらいまでにのみ醸造されていた。
その後、ビール産業はイギリスの産業革命とともに、工場の機械化を進め、蒸気機関の発達とともに、近代工業へと変わっていった。
19世紀後半には、リンデの冷却機の発明により、一年中、下面発酵のビールがつくれるようになり、さらに、パスツールの低温加熱殺菌法によるビールの長期保存が可能となり、市場を拡大した。
一方では、デンマークのハンセンの純粋培養酵母の発明により、よりピュアなビールができるようになり、下面発酵ビールが世界の主流となった。
日本のビールは、明治2年、アメリカ人コープランドが横浜に、『スプリングバレーブルワリー』を創立したのに始まる。明治20年前後には、大資本によるビール会社が誕生し、エビスビール、キリンビール、アサヒビールが次々に発売され、さらに、昭和38年、サントリーのビール業界参入があり、現在では沖縄のオリオンビールを入れて5社で生産している。
そして今日、世界でもっとも広くもっとも多量に消費されているのがビールである。
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